フライトジャケットのうんちく

~ 機能的で実用的でファッショナブルなフライトジャケット ~

戦闘機を操縦するパイロットために開発されたフライトジャケットは、 極限の状態で飛行するパイロットにとっては、命に関わる重要なアイテムです。
戦闘機の性能に合わせて開発・発展してきたフライトジャケットは、それぞれの時代で常に究極のジャケットでした。
素材をはじめ、首元や袖口、開閉ジッパーやポケットの位置などのディテールは機能的であり、実用的です。
そんなフライトジャケットは、ファッションとしても実に魅力的です。

ちょっとした用語集

A-2について

◆A-2は1931年に採用されたアメリカ陸軍航空隊を代表する夏期用フライトジャケットです
◆素材は革のなかでもっとも丈夫だとされる馬革を採用しています
◆ポケットはボタン留めのスカラップポケットの張りポケットです
◆胸に兵士たちの名前が記されたネームタグが付いています
◆肩に付いたエポレットは自力脱出できないパイロットを引っ張り出す時にも使われます
◆袖口と裾回りには風の進入を防ぐ二段しぼりのリブが施されています
◆タロン社、アイディール社、クラウン社などのジッパーが採用されました
◆風によって襟がはためかないように襟部に固定用のボタンが付いています
◆その理由は採用当時、航空機はオープン・コックピットだったからです
◆A-2の前身はA-1で、大きく違うところはロール襟とボタン留めの前立てです

L-2Aについて

◆L-2は革製のA-2に代わるナイロン製の夏期用フライトジャケットとして登場した
◆A-2と比較するとかなり耐寒性能が低いが、それは機内の空調が強化された結果である
◆L2-Aは1950年にエアフォース・ブルーを採用しナイロンツイルの改良型として登場した
◆1960年代初期からはセージグリーンのL-2Bが着用された
◆裏地はレーヨンとウールの混紡サテン
◆MA-1と同時期に開発され、コンセプトはより薄く、より動きやすく、より快適に
◆外見はMA-1に似ているが、ライトゾーン用ジャケットなので中綿が入っていない
◆もう一点の大きな違いは、肩にドット留めのエポレットが付いていることである
◆ジッパーにはスプリングが仕込まれていて、常に引き手が下に倒れてロックされる
◆ジッパーエンド補強用にボタン留めの三角形のタブが付いている
◆襟はニットジャージ、初期はウールジャージ、後にアクリル繊維に変更された
◆ポケットはフラップ付きスラッシュポケット

B-10について

◆1943年に採用されたアメリカ陸軍航空隊最初の布地製フライトジャケットです
◆革不足で生産が間に合わなくなる懸念から、布を使ったジャケットが開発されました
◆表地はオリーブ・ドラブのコットン・ツウィル、裏地はアルパカとウールのパイル地
◆現代フライトジャケットの元祖と呼ばれ、B-15、MA-1へと進化して行きます
◆左の肩にはARMY AIRFORCESの文字とマークがプリントされています
◆襟にはムートンが張られており、襟止めストラップとボタンで留める事ができます
◆ポケットはペンホルダーつきのパッチポケットです
◆ジッパーは皮ひもつきでグローブをしながらでも開閉ができました
◆袖口とウエスト部にはウールのニットジャージが採用されています
◆ニットジャージは先端が絞られており、縫い合わせ部分は逆に膨らんだ形です
◆風を遮断するウィンドフラップが付いています

B-15Cについて

◆B-15は1944年に正式採用されたB-10に代わるインターミディエイト・フライトジャケットです
◆B-15は何度も改良され、シリーズはB-15,15A,15B,15C,15D,15DMODとあります
◆B-15Bで表地がコットンからオリーブドラブのナイロンに変更されました
◆耐熱性や耐火性は、ナイロン繊維は皮革よりも低いものでした
◆しかし航空機の発達より機内火災の危険が減少したためナイロン繊維が採用されました
◆B-15Cは当時陸軍航空隊から独立した空軍が色をエアフォース・ブルーへ変更したものです
◆1954年にアメリカ軍将兵の慰問に訪れたマリリン・モンローに進呈され着用されました
◆ムートンが張られた襟を前のベルトとボタンによって立てて閉じることができます
◆スリットを使った内ポケット型のスラッシュポケットで、開閉はドットボタンです
◆インサイドポケットも付けられています
◆左上腕部にペンシルケースとシガレットケースが取り付けられました
◆酸素マスクのホースをクリップ留めするためのタグが付いています
◆ジッパーには大きくて使いやすい革のタブが付いています

MA-1について

◆MA-1は1950年代~1970年代のインターミディエイトゾーン用のフライトジャケットです
◆ナイロン製フライトジャケットの頂点とも言われ、もっとも知られているフライトジャケットです
◆改良を繰り返されたB-15を発展させたMA-1は当初から完成度が高いものでした
◆ファーストモデルの裏地はウールのパイル地をレーヨンでカバーしたもので重かった
◆当時開発されたヘルメットに合わせ、ボア付き立て襟ではなくニット製リブ襟が採用されました
◆ポケットはスラッシュポケットで、初期型にはフラップが付いていなかった
◆内側にインサイドスラッシュポケットが付いています
◆左袖にペンケースとジッパー付きシガレットポケットが付いています
◆手袋をはめたままでも開閉できる大型のジッパーが付いています
◆ナイロン製の裏地がインディアンオレンジになったのはベトナム戦争前後です
◆不時着したパイロットが裏返して着ることで発見されやすくなります

B-3について

◆1934年に採用されたアメリカ陸軍航空隊のヘビー・ゾーン用フライトジャケットです
◆第二次大戦中に活躍したフライトジャケットの傑作品でもあります
◆レザー製でワイルドでタフなフォルムはボマージャケットの代表格です
◆シープスキンを丸ごと使用し、表裏をひっくり返して使用しています
◆シープスキンがメイン使われているが、補強用に牛革のあて革も使われました
◆初期タイプは雨水や油が染み込みやすかったが、後に耐油加工が施されました
◆裏側はすべてムートンでパーツによって毛足の長さが変えられています
◆襟の長さの違う2本のストラップは、チンウォーマーで鼻から下を完全に覆う時に使用
◆通常折り返して使用する袖口はアームラインを絞って風の侵入を防ぐ働きがあります
◆同じく風の侵入を防ぐためのウエストベルトが付いています
◆ポケットはフラップなしのパッチポケットです
◆B-3に似たグランドクルー用のD-1というジャケットもあります

B-6について

◆1939年に誕生したB-6は、ヘビー・ゾーン用フライトジャケットB-3を改良したジャケット
◆B-3に比べて4分の1インチに羊毛は刈り込まれ、機動性が高められました
◆そのため、A-2よりも防寒性があり、B-3よりも軽くて動きやすいフライトジャケットです
◆縫い目部分は補強用にレザーテープが使用されています
◆襟立てストラップは1本でスナップ留めとなりました
◆斜めに切れ込んだ内蔵型のポケットが採用されました
◆袖口にはドットボタンがついて、しめ具合が調節できます
◆ウエストの調節はジッパー式となりました
◆ジッパーは米タロン社製のジッパーが使用されていました
◆肩にエポレットが付けられました

N-3Bについて

◆N-3Bはヘビー・ゾーン用のナイロン製フライトジャケットの頂点に立つジャケットです
◆極寒冷地(-30℃~-50℃)で働くために作られました
◆完成度の高い防寒性からパイロットだけでなく寒冷地で任務に就くあらゆる人に愛用されました
◆そのため、N-3Bは極寒地用パーカとして類別されています
◆フードの外周には当初コヨーテの毛が採用され、後にアクリルファーになりました
◆フードには内張りがされており、当初はムートン、後にアクリルに変更されました
◆フードの頂点には長さが調節できるストラップが付属しています
◆腰のあたりにフラップ付きの大型カーゴポケットが付いています
◆胸の下の両側には貫通式の大きなスラッシュポケットが付いています
◆貫通式ポケットはジャケットを着たまま下のウェアのポケットなどに手が届くようにするため
◆ウエストを絞るコードが付いています
◆ボタン留めループ、ジッパー補強ドットボタンが付いています

N-2について

◆N-2シリーズは極寒地用のジャケットとしてN-3から発展したものです
◆-10℃~-30℃のへヴィ・ゾーン用のナイロン製フライトジャケットです
◆狭いコックピットでもパイロットが動きやすようにN-3より丈は短くされています
◆MA-1にフードを付けたようなデザインだが、その進化の過程は違うものです
◆頭部を完全に包み込むフードの内側はムートン張りでした
◆フード外側は、初期モデルはコヨーテの毛が、後期モデルはアクリルが使用されています
◆フードはジッパー付き。全開にして外周に付いているドットボタンで固定するようになっています
◆その理由は、フライトヘルメットを着用するときに頭部の動きを阻害しないようにです
◆スラッシュポケットが付いており、ハンドウォーマーを兼ねています
◆中の衣類に手が届くように、貫通式スリットが付いています
◆ボタン留めループ、ジッパー補強ドットボタンが装備されています
◆酸素マスク用タブが装備されています
◆スプリング式ジッパーを採用しています

G-1について

◆1930年代中頃に採用された海軍を代表するフライトジャケットです
◆開発当時のG-1の表地はゴート・スキン、裏地にコットン・サテン、ムートンのボアを使用
◆後に素材は、裏地にナイロン・オックスフォード、ボアにはアクリルが使用されています
◆陸軍航空隊のB-10はG-1をモデルにして作られました
◆本物のG-1はオフィサーと呼ばれる士官にしか支給されない貴重なジャケットでした
◆アクリルボア付きの襟の裏には革製のボタン留めストームストラップが付いています
◆腕が動かしやすいように脇の下には2枚のアクションプリーツが設けられています
◆さらに通気を良くするためにアイレットが4つ付いています
◆ポケットはパッチポケットで左側のポケットにペン差しが付いています
◆防寒対策用の前立てには海軍の証が刻印されています
◆映画「トップガン」で使用されていたフライトジャケットがG-1です

G-8(WEP)について

◆G-8(WEP)は、アメリカ海軍が開発した冬期用のナイロン製フライトジャケットです
◆G-8(WEP)は通称名で正式名称はありません
◆表地はナイロン、裏地はウールのパイル地をコットンツイルでカバーしたものです
◆襟にはウール製ニットジャージ素材が使用されています
◆両胸に大型のポケットが付いているがハンドウォーマーには使用できない位置にあります
◆それは海軍の礼儀正しさを表すシンボルといわれています
◆ジッパーはCONMAR社の使いやすく大きめのものになっていました
◆背中にアクションプリーツがあり、動きやすくなっています
◆袖口はV字型にカットされジャージが付けられた特徴的なものです
◆その理由は、極端に先端部で絞り込まれた袖口の着脱を容易にするためです
◆フロントストラップをボタンで閉じる事で立ち襟になる仕様になっています
◆米空軍がレザーのA-2、ナイロンのMA-1なら、米海軍はレザーのG-1、ナイロンのG-8です

CWU-45/P,36/Pについて

◆CWU-45/Pは1973年に登場した耐熱アラミド繊維を使った初めてのフライトジャケットです
◆アラミド繊維(ノーメックス)は耐熱温度400度で、発火せずに炭化し、火傷をしません
◆開発を行ったのは米海軍だったが、1976年に米空軍と共同で完成させました
◆CWU-45/Pの裏地はファイバーライニングで保温性が高いです
◆袖口はジャージ製リブニットです
◆飛行中の機上作業の際に引っかかって危険なため、背中のアクションプリーツは廃止されました
◆ポケットはベルクロ(マジックテープ)で開閉するフラップカバーのカーゴポケットです
◆ネームタグもベルクロで留める仕様になっています
◆遮風用に前立てが設けられています
◆操作しやすいタブ付きジッパーです

◆CWU-36/Pは1978年にL-2Bの後継として採用された夏期用フライトジャケットである
◆CWU-36/Pの外見デザインはほぼCWU-45/Pと同じである
◆CWU-36/Pは夏期用のため保温用のファイバーは取り除かれている


LINK : 1995年のリーバイス