うつの波に乗って

~ うつ病になって思ったこと、克服を目指すうつコラム ~

うつ病と仕事

うつ病の治療に必要なもののひとつとして「十分な休養」と言われています。
「十分」なので数日ではなく、数週間~数ヶ月の長い期間です。
何もしないで休養してれば少しは良くなるのですが、生計を立てるためには働いていかなければならないのですから、
休養していても休養後の事を考えると、心休まる感じにはならなかったです。
特に仕事が原因のうつ病であった場合は、仕事を休職して良くなっても、 何も変わらぬ環境に戻ったら復帰しても同じ事になってしまいます。
自分もうつ病で休職→復職→退職→就職→また休職→半ば解雇の退職みたいなことを繰り返し、
その度に環境や条件が悪くなっていき、うつ病に悩む以前に生活に困窮する事態になりました。
 
どっかで見たか聞いたか、「うつ病になってよかった」なんて思う人がいるみたいなのですが、
自分はまったく思いません。失くしたものは計り知れなく、得た物なんて思いつきません。
きっとそう思う人は、戻る場所があった人だったり、うつ病等の休職に手厚い待遇を得られた一部の人たちなのかもしれません。
本当なのか知らないのですが、公務員なんかでは、
うつ病で休職し、休職期限が切れると一日だけ出社してまた休職に入る、なんてことを繰り返し、 何年も休職できちゃう抜け道があったり、
それなりに強い労働組合を持つ大企業なんかでも3年くらい休職できて、 さらに給与の80%が貰えたりしたりするような話しも聞いた事があります。
とりあえず、戻る場所がある勝組待遇の人たちではない限り、 うつ病になることは辛い人生の始まりになる場合があるような気がします。
 
制度としては公務員でなくとも大企業の社員でなくとも受けられるものがあって、
医療費なんかでは、最初に受けたものとして、通称「32条」と呼ばれる「通院医療費公費負担制度」で、精神疾患の医療費自己負担5%にしてもらいました。 (その後、「自立支援医療制度」と名前が変わって、自己負担が10%になってます。お医者さんが書類を書いてくれ、それを役所に持っていくと受けれます。 かかる病院や薬局が変わると再度役所に変更の申請をしなくてはいけないのが面倒くさかった記憶があります。)
社会保険に入っていれば、傷病手当てで1年半くらいは給与の60%くらいは貰えた気がしますが、
 
問題はそういうところではなくて、日本は一度社会の輪から外れると再び輪に入るのは困難を極めるというところではないかなぁと。

~独り言~

うつ病になってしまい、
闘病を始め、長期休養を取っていると、
時間が止まったようになり、全てが停滞したようになるんですよね。
それでも時間は過ぎて、季節も変わり、ふと振り返ってみると、
何も進歩がないんじゃなかろうか?
何も変わってはいないんじゃなかろうか?
そんな事を思い落胆したり、焦ったりするんですよね。
 
一度止まってしまった車はまたローギアから走り出さなければいけないんです。
ローギアはたっくさんのエネルギーを消費しますが、すんごく遅いんです。
きっと進んでいるんだと思います。半歩でも。
半歩しか進んでないとしても、それは後々の100歩と同じ価値があると思うんです。
そしてトップギアに入れるには、必ずローギアからはじめなければいけません。
いきなりトップギアに入れてアクセル踏んでもエンストして少しも進めません。
 
そして気を付けましょう、
前進しようと足がアクセルを踏もうとしているとき、
手でサイドブレーキを頑なに引いていてはいけないと思います。
サイドブレーキを恐る恐るでも下ろす勇気、その勇気は必要かもしれません。
 
人生の道にも、
追い越し車線もあれば登坂車線もあると思います。
のんびり景色でも見ながら登坂車線をぼちぼち走るのも人生です。
結局みんな、行き着くところは一緒だと思いませんか?

自分が会社側の人間だったら

もし自分がうつ病になった人ではなくて、うつ病の人を相手にしなければいけない立場だったら?
人事部の人でもいいし、部下がウツ病でもいいし、同僚がうつ病でもいいのですが、
おそらく、 うつ病のスタッフに対して心の底で思う事は、「そんな奴いらね」、「さっさと目の前から消えてくれ」じゃないかと思います。
実際に自分もそう思われていただろうし、そういう扱いをされた気がしますから。
 
ある会社で、毎月80~100時間くらいの残業を何ヶ月も続けたのです。残業代は何も出ませんでした。
自己管理で残業を減らすことも出来ませんでした。
なぜなら朝から夕方までの通常業務以外に、会社の業務終了後から始まる業務も任されてしまったからです。
その人員を補充すると言われていましたが何ヶ月経っても人は補充されず、うつ病になり休職となりました。
最終的に6ヶ月休職したのですが、その間、人事部長も所属部の上司も誰も連絡してきませんでした。
ただ事務的な連絡をメールを人事部の人が送ってくるだけでした。
自分は、人が補充されれば戻れると主張していたのですが、その答えはとうとう最後まで聞けず、
6ヵ月後に、一通封筒が届き、紙に就業規則の1文がコピーされており、
それは、「休職期間が過ぎても会社が就業不能を判断した場合は雇用契約解除」みたいなものでした。
その会社では休職は6ヶ月までと決められていました。
 
これはちょっとしたトラウマになっています。
会社の指示通りに無理して病気になるまで働いても、病気なったら、「はい、さようなら。」
そんなもんだと、痛感させられました。


誤解を生むうつ病

うつ病はよく「怠け病」なんて言われることがあります。
うつ病は辛く、そんなことはないのですが、そう言われてしまうのも仕方ないとも思います。
なんと言っても、うつ病は自己申告だけでも診断されてしまう病気ですからね。
血がダラダラ流れてる怪我や、高熱の出る病気とはちょっと違いますからね。
身体的には問題ない場合も多いですし、 悪用しようとすれば出来てしまう要素がありますから、疑われても仕方ないですし、
実際にそんな人もいるかもしれません。
 
例えば、うつ病で2~3年でも休養してしまって、無職のブランクができてしまうと、その後社会復帰をするのは本当に厳しいと思います。
働く意志があっても、体力があっても、そういう人を雇ってくれる会社を探すのは難しいと思います。
働きたくても働かせてくれない、さらに1年、2年と延びていくと、、、
だったらこのまま「うつ病」が治らないことにして障害年金でも貰って生きてくか、なんて考えが頭をよぎるかもしれません。
 
誤解を生みやすい要素がある限り、うつ病をみんなに理解してもらえる状況というのはやってこないような気がします。